さて、遺留分権利者に遺留分が認められているとはいっても、どのようにして保障されているのでしょうか。
実は遺留分とは、なにもせずに一定額がもらえるという制度ではありません。
被相続人による誰かへの遺贈や贈与によって、相続人が遺留分に満たない取り分しか得られない場合に、遺留分権利者は、自分の遺留分が侵害されているとして、その遺贈・贈与の目的物を返せ、と主張することができるのです。
このような主張を、遺留分減殺請求と呼びます(1031条)。
減殺とは、遺贈・贈与の効力を失わせるという意味です。
特別受益と違い、相続人に対する遺贈・贈与には限られず、だれに対するものであっても減殺の対象になりえます。
このように、自分の遺留分が侵害された時に初めて、遺留分減殺請求を行うことによって、遺贈・贈与の効力を失わせて、その結果遺留分として認められた取り分を確保することができるわけです。このようにして、遺留分は保障されているのです。
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