当社は立ち上げたばかりのベンチャー企業です。最終的にはIPOによるエグジットを目指していますが、ひとまず1000万ほど資金調達が必要なので、エンジェル投資家の方から投資を受けようと思っています。
バリュエーションはどのように設定するのでしょうか。
Answer.
バリュエーションとは、企業価値のことをいいます。 スタートアップ企業が投資を受ける際のバリュエーションの計算方法に決まりはなく、将来のエグジット価値を見据えて最終的には投資家と企業側の相対交渉によって決まります。
将来のエグジット価値については、既に上場している同種企業の株価を参考にすることもありますし、資産価値や利益状況を考慮して計算することもあります。
なお、スタートアップ企業は、エグジットまで複数回資金調達(増資)を繰り返すことが多く、資金調達を受けることにより創業株主の持株比率は低下するため、1回の資金調達ラウンドで発行する株式の比率は10~15%以内で検討することが一般的です。
そのため、資金調達額の10倍以上程度はバリュエーションとして確保しておいた方がよいでしょう。
バリュエーションとは
バリュエーションとは、企業価値のことをいいます。
企業価値は、株価×発行済株式総数にて算定するため、時価総額ともいいます。
上場会社では、株価に時価がありますが、未上場会社では、取引相場がないため、どのような価格設定とするかが悩ましいところです。
なお、プレバリュエーションとは、資金調達前のバリュエーションをいい、ポストバリュエーションとは、資金調達後のバリュエーションをいいます。
・ポストバリュエーション:資金調達後の発行済株式総数×1株単価
(=プレバリュエーション+資金調達額)
※上記の発行済株式総数については、顕在株式のみとするのか、潜在株式(=ストックオプション等、将来株式に転換できる権利)まで含めるかに決まりはないですが、投資家は潜在株式を含めて考える場合が多いため、認識のすり合わせをしておく必要があります。
スタートアップ企業のバリュエーション
一般論としては、バリュエーションの算定方法としては、①対象企業が将来生み出す収益を指標として算出する方法(インカムアプローチ)、②対象企業が現在保有する資産と負債を基に算出する方法(コストアプローチ)、③上場している類似業界・企業を基準に算定する方法(マーケット・アプローチ)等があり、これらを組み合わせたりして算定します。
しかし、スタートアップ企業は、そもそもまだ売上がなかったり、サービス内容が固まっていない等、大抵は赤字続きで将来の収益を算定することが難しくインカムアプローチが難しい場合も往々にしてあります。
また、大した資産をもっていないことが通常ですし、類似の業態がない場合もあります。
そのため、企業価値をつけようと思ってもその評価が難しく、上記算定になじまないことも多いです。
最終的には、スタートアップ企業側と投資家側の相対交渉によって決まりますが、投資ラウンドに有名な投資家が加わればバリュエーションが跳ね上がることもあります。
なお、投資家と企業側とでバリュエーションに折り合いがつかない場合は、バリュエーションの算定を先延ばしにできるJ-kissによる資金調達も有効です。
KOMODA LAW OFFICE 弁護士
中山 恵 MEGUMI NAKAYAMA
得意分野は企業法務全般、IPO支援、M&A、企業労務。
座右の銘は『努力なくして成功なし』