Komoda Law Office News

ステマを行う上での注意点は?ステルスマーケティング規制について弁護士が解説①

2023.09.22
Question.
私はフォロワー数約1万人のインフルエンサーです。
この度、とある企業様より、自社の化粧水のサンプルを無料で送るので、インスタ(Instagram)で紹介してもらえないか?との依頼がありました。
私としては、無料でサンプルがもらえるので引き受けようと思いますが、何か注意点はありますか?

  化粧品を持つ女性  

Answer.
上記依頼に基づくInstagram上の宣伝は、ステルスマーケティングに該当します。
ステルスマーケティングは2023年10月1日より、景品表示法により規制されますので、商品の紹介の際は、【#PR】など、広告宣伝であることを明示するような投稿にすべきでしょう。

1.ステマ規制/ステルスマーケティング規制とは?

近頃よく聞く「ステマ規制」とは、一般消費者に広告・宣伝と気づかれないように行われる広告・宣伝行為(ステルスマーケティング)に関する規制を指します。

これまで、広告の表示内容等を規制する法律である、いわゆる景品表示法(以下「景表法」といいます。)では、優良誤認表示(実際より著しく優良なサービスであると偽って宣伝する表記)や有利誤認表示(実際より著しく有利な取引条件であると偽って宣伝する表記)が規制の対象とされる一方、ステマに関しては、特段規制されておりませんでした。
しかし、今般改正により、2023年10月1日より、景表法5条3号に基づきステマが規制されるようになりました。

景表法5条3号は、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害する恐れがあるとして内国総理大臣が指定する表示を規制対象とする条文ですが、今回、これにステマが該当すると指定された形になります。
なお、内閣総理大臣の告示では、ステマのことを、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号)と定義し、当該表示とは、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示(以下、「事業者の表示」という。)であるにもかかわらず、事業者の表示であることを明らかにしないことなどにより、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難となる表示である、という解釈を示しています。
また、令和5年3月28日付消費者庁長官決定で「一般消費者が事業者での表示であることを判別することが困難である表示の運用基準」が別途公表されています。(以下「運用基準」といいます。)

消費者庁HP(別紙2 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準):https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/assets/representation_cms216_230328_03.pdf

景表法5条
1号:優良誤認表示
2号:有利誤認表示
3号:指定告示(一般消費者による自主的
→令和5年内閣府告示第19号=ステマ規制

2.ステマ規制の趣旨

それでは、なぜステマを規制する必要があるのでしょうか?
運用基準によれば、その理由は以下の通りです。
「一般消費者は、事業者の表示であると認識すれば、表示内容にある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考え、商品選択の上でそのことを考慮に入れる一方、実際には事業者の表示であるにもかかわらず、第三者の表示であると誤認する場合、その表示内容にある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考えないことになり、この点において、一般消費者の商品選択における自主的かつ合理的な選択が阻害されるおそれがある。」
つまり、ステマは、一般消費者が広告案件とは知らず、客観的な第三者の意見・評価として宣伝内容を誤認して商品の購入を選択してしまうおそれがあり、自主的合理的な意思決定を阻害する点で、従前の規制対象である優良誤認表示、有利誤認表示と同等に規制する必要性があるのです。

3.罰則

それでは、ステマ規制を知らずに、PR案件であることを表記しないで宣伝してしまった場合、罰則などはあるのでしょうか?
この点、現在の法制度では、あくまで宣伝を依頼した企業・事業者(広告主)に対して、罰則がある形となっており、実際に宣伝をしたインフルエンサー等は規制の対象になっていません。
しかし、依頼元である企業に対して迷惑をかけてしまうため、広告する側であるインフルエンサーもきちんとステマ規制を理解して商品をPRする必要があります。
※なお、広告主である事業者に対する罰則は以下の通りです。

・違反した場合→差止等の措置命令の対象(景表法7条)
・措置命令にさらに違反した場合→二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金(景表法36条)

 

お問い合わせフォーム
tel:0924338711
お問い合わせフォーム
tel:0924338711
弁護士:中山 恵執 筆
KOMODA LAW OFFICE 弁護士
中山 恵 MEGUMI NAKAYAMA
得意分野は企業法務全般、IPO支援、M&A、企業労務。
座右の銘は『努力なくして成功なし』

関連サイトRelated Sites

弁護士法人 Nexill&Partners 総合サイト
相続専門サイト 相続手続・登記・税申告の全てに対応
遺産分割問題のご相談 相続が上手く進んでいない方へ
相続土地国庫帰属制度のご相談 相続した不要な土地を手放したい方へ
弁護士法人Nexill&Partners
相続LOUNGE 法律事務所は少し敷居が高い方へ
司法書士法人Nexill&Partners
税理士法人Nexill&Partners
社会保険労務士法人Nexill&Partners
Youtube
facebook

予約専用ダイヤル

WEB予約