普通方式による遺言の作成が不可能か著しく困難な場合には、例外的に、特別方式による遺言が許されます。そのような場合としては、
(1)遺言者が死亡の危機に瀕した場合(死亡危急者遺言・船舶遭難者遺言)
(2)遺言者が交通の遮断された場所(隔絶地)にいる場合(伝染病隔離者遺言・在船者遺言)
が挙げられます。
(1)では、遺言者が遺言内容を口授できるが署名・押印はできないという場合を想定して、(2)では、遺言者が公正証書遺言や秘密証書遺言をしたくても公証人の関与を求めることができないために、特別方式が定められています。
例外的な方式なので、特別方式による遺言は、遺言者が普通方式によって遺言できるようになった時から6か月間生存すれば効力を失います(民法983条)。また、(1)の場合に認められる遺言では、遺言者は遺言内容を口授するのみで遺言証書の作成に関与しないので、遺言証書作成後、一定の期間内に家庭裁判所による確認を受けなければ、遺言者死亡時にその効力は生じません(民法976条4項・979条3項)。
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