人は、生前に法律行為によって自己の法律関係を自由に形成することができます。さらに人は、自己の死後の法律関係をも定めることができます。そして、人がした意思表示の効力をその人の死後に生じさせる法律行為を遺言といいます。
遺言制度は、遺言者の最終意思(遺言者がその死亡時に最も近い時点で抱いた意思)を尊重し、実現することを目的としています。遺言者の自由意思を尊重するという観点から、遺言をする時点において満15歳以上の者は、単独で有効に遺言をすることができます(民法961条・963条)。
遺言の自由を保障するために、遺言に対する他人の介入は厳格に排除されます。具体的には遺言の代理は認められず、遺言の自由に対する侵害行為は相続欠格自由(891条3号~5号)や受遺欠格事由(965条)とされます。また、遺言者の意思の真正性や独立性を確保するために、遺言には一定の方式が要求されています(960条)。
遺言者は、生存中はいつでも何度でも、遺言の全部または一部を自由に撤回することができますが(1022条)、その一方で遺言の撤回に受遺者が不当に制限をかけるような機会を排除するために、撤回の自由の放棄することはできず(1026条)、これによっても遺言の自由は強く保障されています。
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