嫡出推定は、生まれた子の法律上の父子関係を早期に安定させようという要請から認められる制度ですが、法律上の推定ですので、推定の父子関係が実体にあっていないという場合も、もちろん考えられます。しかし、事実と異なるからという理由でいつでも簡単に嫡出推定を覆せるとすると、父子関係がいつまでも定まらない子がでてきたり、何年もたっていきなり父子関係を否定されたり、という事態が生じてしまいます。
そのような事態を避けるため、推定された父子関係を否定するには、裁判手続によらなければならないとされています。この裁判手続は、嫡出否認の訴えと呼ばれていて、申立てをすることができるのは、子の父親として推定を受けた夫(夫婦が離婚して300日以内である場合には、元夫)のみです。また、申立てをすることができる期間も、(元)夫が子の出生を知ってから1年以内に限定されています。このことから、嫡出推定の制度が、いかに子の福祉を重視した制度であるかがわかりますね。
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