上記の例で、Bが自己の所有する時計を質権の目的物としたとします。時計は動産なので、この場合を特に動産質権といいます。さて、Bに期限がきても100万円を返してくれないとき、Aはどのように質権を実行すればよいのでしょうか。
基本的には、抵当権のように、目的物を競売にかけて換価することになります。しかし、質権が設定されている動産の価格が低く、競売の手続をとって換価しようとしたのではその費用だけでほとんど残りがなくなるという場合や、競売にかけても買い手がおらず、結局、廉価で売られてしまうという場合がありえます。
このような場合にも、必ず競売にかけなければならないとすることは合理的ではないので、Aには別の方法による質権の実行が許されています。それは、「簡易な弁済充当」といって、Aが所定の手続をとることにより、質権が設定された目的物の所有権を取得できる、というものです。質物を換価せずにそのまま取得するということは、原則的には認められないので、「簡易な弁済充当」は、例外として許されている質権の実行方法ということになります。
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