【解雇のルール②解雇予告制度(3)】
解雇予告がなされずに解雇がなされた場合、つまり、使用者が労働者に対しいきなり解雇を言い渡した場合、労働者としては解雇の無効を主張したいと考えるのではないでしょうか。
しかし、解雇予告に関するルールとして、30日前の解雇予告にかえて解雇予告手当を支払うことも可能である、というものがありました。とすると、使用者は、解雇予告手当てさえ支払えば、いきなり解雇の言い渡し(即日解雇)をしても許され、労働者は解雇の無効を主張できない、ということになってしまうのでしょうか?
このような解雇予告義務違反の解雇について、裁判所は、「即時解雇としては効力を生じない」としたうえで、「使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、使用者が解雇予告手当を支払った時点又は解雇通知から本来の予告期間である30日が経過した時点で解雇が有効となる」という判断をしています(最二小判昭和35年3月11日)。
したがって、解雇予告義務違反の場合、使用者は労働基準法20条に違反したことの責任(同法119条により、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)は問われるものの、解雇自体は、その日から30日の経過を待つか、解雇予告手当を支払うことによって、有効となし得るのです。
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