日照の利益は、主に南側隣接地の利用形態によって確保されるものです。南側隣接地がマンション所有者とは別人の所有である場合、その土地の利用方法は他人の意思に委ねられるものなので、マンションの売主から南側隣接地の所有者に対して、「日当たりが悪くなるから高い建物を建てないでほしい」といった要望を出すことは難しいでしょう。
よって、一般的には、日照の利益は売主の裁量によって確保できない性質のものであるため、原則として、マンションの売主には、その売買において南側隣接地にどのような建築物が建てられる可能性があるのか、その建築物がマンションに与える影響等を調査し、その結果を買主側に正確に告知説明すべき義務は課せられていないと解されています。
一方で、売主側が、特に良好な日照をセールスポイントにしていたり、南側隣地の所有者からその利用形態に関する説明(例えば、隣地にこれから高層マンションを建設することが決まったため、日照が遮られることが予想されるといった事情)を買主に行う旨要請されていたような場合や、売主側が買主側に対し虚偽の説明や誤解を招くような説明をなした場合には、売主の説明義務違反が認められやすいと言えます。