契約当事者が宅地建物取引業者に仲介を委託する場合には、売主の説明義務はどのような扱いとなるのでしょうか?
この場合、契約当事者の意思としては、原則として、重要事項の説明については自らが委託した宅地建物取引業者が行うものとしてその説明に委ねているということができます。よって、売主本人は買主に対し説明義務を負いません。
しかしながら、例外的に売主も説明義務を負うケースもあるので注意が必要です。
〔例外的に売主も説明義務を負う場合〕
①大阪高判平成16.12.2
売主が買主から直接説明することを求められ、かつ、その事項が購入希望者に重大な不利益をもたらす恐れがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想される場合には、売主は、信義則上、当該事項につき事実に反する説明をすることが許されないことはもちろん、説明をしなかったり、買主を誤信させるような説明をすることは許されないというべきであり、当該事項について説明義務を負う。
②東京地判平成9.1.28
売主は売買契約に向けて仲介業者に委託している以上、仲介業者を売主の履行補助者とみて、指導要綱の説明義務違反について売主も責任を負う。