マンションを含む不動産の売買は、高額なお金をやり取りすることとなるため、契約締結に至る過程での売主の説明内容はかなり重要です。
もし売主の交渉段階での説明不足が原因で買主に損害を与えた場合は、あくまで契約成立前の段階(交渉段階)で問題となる責任であるため、売買契約上の責任(債務不履行責任)ではなく、民法上の不法行為責任(民法709条)に該当すると考えられることが多いようです。
しかしながら、売買契約締結前であっても、売主の説明義務違反として契約上の責任を追及することができる場合があります。
そもそも、売買契約における売主の義務は、契約の目的物である財産権を買主に移転することなので、説明義務自体は本来的な売主の義務に含まれません。
ただ、信義則から導かれる売買契約上の売主の付随的義務として「説明義務」が認められる場合もあり、この説明義務違反に対して債務不履行責任が成立する場合もあります。
また、宅地建物取引業者が自ら売主となったり、仲介業者として介在したりといった形態で不動産の売買契約が行われるケースも多く見られます。
この場合、宅地建物取引業者は、売買契約等が成立するまでに、宅地建物取引士として、重要事項を記載した書面を交付して説明させなければならないと定められています。