会社員が毎月もらう給与明細の「給与」とは何のことかご存知ですか? 「給与」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものを指します(労働基準法11条)。
従業員に給与を支払う際には、労働基準法上、いくつかのルールがあります(労働基準法24条)。以下で、各ルールについて具体的に説明致します。
① 通貨払い 給与は現金で支払わなければなりません。しかし、銀行振込によって給与を支払っている会社も多いと思います。これはなぜかというと、労働基準法上、従業員の同意を得た場合は、従業員が指定する口座に振り込むことが認められているからです。
② 直接払い 給与は従業員本人に直接支払わなければなりません。例外として、従業員が病気で受け取ることができないなどの事情がある場合は、家族が使者として受け取ることが認められています。
③ 全額払い 給与は全額を支払わなければなりません。よって、振込手数料などを給与から勝手に差し引くことはできませんが、従業員の過半数代表者と労使協定を締結すれば、一定のお金(組合費等)を控除することが可能です。また、社会保険料や税金に関しては、法律により給与から控除することが認められています。
④ 毎月1回以上払い 給与は少なくとも毎月1回支払わなければなりません。つまり、数か月ごとにまとめて支払ってはいけないということです。年俸制を採用している場合でも、分割して支払う必要があります。
⑤ 一定期日払い 給与は期日を特定して支払わなければなりません。「末日締め翌月10日払い」「15日締め当月25日払い」といった決め方であれば問題ありませんが、例えば、「毎月最終金曜日に支払う」のような決め方だと支払日にずれが生じてしまうので、認められません。※ただし、④⑤については、臨時に支払われる賃金、賞与、1か月を超えて支払われる精勤手当・勤続手当等は除かれます。
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